公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会
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おおくの家族が心配事や困難を抱え、精神的に問題を抱えている  大阪・兵庫の現代版私宅監置とも言える相継ぐ事件は、他人事では決してない!

2018年4月13日掲載

見解

2018年4月13日に次の見解を出しましたのでお知らせいたします

おおくの家族が心配事や困難を抱え、精神的に問題を抱えている(みんなねっと全国調査)

大阪・兵庫の現代版私宅監置とも言える
相継ぐ事件は、他人事では決してない!

私たち全国精神保健福祉会連合会は精神に障がいを持つひとの家族会全国組織です。3月兵庫県、昨年の12月大阪府で類似する2つの事件の報道がありました。2つの事件に共通することは、児童期に精神障害を患った被害者が家族によって自宅に長年監禁されていたという現代版私宅監置ともいえるものでした。
奇しくも今年は精神科医呉秀三が精神障害者の私宅監置(自宅の中に設置された隔離室で監禁すること)の実態報告書を政府に提出してから100年目となります。これをきっかけとして1950年に精神衛生法が制定され私宅監置が禁止されました。
一世紀を経た今日において、精神疾患を持つ子どもを家族が長年監禁していたという点については全国精神保健福祉会連合会(以下、当会)としても看過できない内容であるため、それぞれの事件は背景が異なる部分もあり、事件の全容解明がなされていない段階であることを前提としながらも、家族の抱える状況について現時点の見解を述べるものです。
 当会では、2017年度に家族支援に関する全国調査を実施し、2018年3月に「平成29年度日本財団助成事業 精神障がい者の自立した地域生活の推進と家族が安心して生活できるための効果的な家族支援等のあり方に関する全国調査報告書」を発行した。その調査結果によると、「日中何もしていない」人が20.2%、障害者総合支援法のサービスを利用していない人が39.8%にのぼり、障害支援区分認定を受けている人も23.8%にとどまっています(「わからない」を除く)。重度に限定すると訪問看護も受けず、28.0%の人が「日中なにもしていない」とし、44.5%が福祉サービスを利用していないとしました。これらの重度の人々は一日中自宅で過ごしていることが予想されます一方で73.3%の家族が日常的にストレスを抱え、60.4%の親が精神的な健康に問題を抱えていました。
さらに病状が悪化した際に50.9%の家族が暴言や暴力がみられたと回答しました。同時に27.4%の家族はこれらのような状態になったことはないとしました。こうした暴言や暴力は病状が悪化した際に見られるもので、そのような状態になる前に治療を受けることでこのような状態になることを防ぐことができ、仮にそうなってしまった場合でも治療を受けることによって比較的早い段階でこのような状態が改善します。
また同調査では、入院した際に隔離室に入れられたことがある人が66.7%、身体拘束を受けたことがある人が26.1%いることも判明しました。こうした隔離や身体拘束の経験が理由となって治療を拒む患者もいます。また、隔離や身体拘束をしなければならないような状態になってから治療を開始することにも問題があります。
 今回の事件の背景には、精神的な疾患をもった際に、精神疾患としての認識を持ちにくく、すぐに保健医療につながりにくいこと、病院等で治療を受けることに対する抵抗感と、家族に精神疾患をもつ人がいることを周りの人から隠そうとする心理、そして病状が悪化してしまった時に家族がとる手段がほとんどないことが、現在の精神保健福祉の問題点として挙げられます。
 現在、精神疾患は国民病でもあり、平成25年からは4大疾病に精神疾患が加えられ5大疾病となり、神経症やうつ病を患う人が増加し、精神疾患患者は392万人となりました。このように一般化してきた疾病であるにもかかわらず、精神的な変調をきたしても、すぐに精神科や心療内科にかかる人はそれほど多くはありません。
 また、家族に精神疾患を患う人がいることを隠そうとする風潮は、改善されてきたとはいえ根強く残されています。これらの2つは、精神疾患に対する無理解や偏見からくるものです。
 そして最終的に家族の病状が悪化してしまった際に、病院に連れていこうとしてもそうした手段が公的には整備されていません。家族が無理やり連れていけば家族に対する不信となり、民間の移送サービスを利用すると高額な費用がかかります。また、治療が行われ病状が安定していても、福祉サービスが十分に行き渡っていない現状も明らかとなりました。
 つまり、社会からの孤立・情報からの孤立・支援からの孤立という主に3つの問題点を背景として、精神疾患のある人のいる家族は自宅で看護するしかない状態に追い込まれています。諸外国に比べ医療アクセス改革は大きく遅れているため、精神保健医療、福祉の改革が強く望まれます。
 調査結果から見ると、「監禁」という状態は決して許されるものではありませんが、重度の精神疾患がありながら日中特に何もすることがなく、家族の看護だけで生活している人々が相当数いることが推測されます。
 このような日本の現状を改善するためには、精神に不調が生じた際には早期に治療に関わるなどのメンタルリテラシーの普及、精神障害に対する無理解・偏見の克服、利用しやすく人権に配慮された医療、その後の福祉施策の充実とアクセシビリティの向上が求められます。
この度の全国調査報告書(2018326日発行)は、全国市町村自治体の精神保健福祉担当部局や精神保健福祉センター、地域家族会に届けました。
家族が精神障害を持つ方を監禁してしまうような見えない差別をなくしていくためにも、障害をもつご本人と家族の実情を共通理解に、必要な政策の手立てと地域での理解がすすむことに期待します。

 

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「平成29年度日本財団助成事業 精神障がい者の自立した地域生活の推進と家族が安心して生活できるための効果的な家族支援等のあり方に関する全国調査報告書」

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