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意見・要望書など みんなねっと事務局

障害者虐待防止法附則第2条に規定する各機関等における虐待防止の状況に関する意見

NEW! 2017年11月28日掲載

障害者虐待防止法附則第2条に規定する学校、保育所等、医療機関、官公署等におけるにおける虐待防止の状況に関するさまざまな角度から現状の実態および課題等を把握、整理、検討を行うことを目的に障害者団体からのヒヤリングにあわせ、当会の意見をまとめました。

ヒヤリングでは以下の2点についての意見を求められました。

  • (問1)貴団体では、障害者虐待防止法附則第2条規定する各機関(学校、保育所等、医療機関、官公署等)における障害者虐待に関する相談やご意見等を受けていますか。受けている場合、その内容をお聞かせください。

 (回答)

当連合会では、全国の家族、当事者、及び支援者、関係者を対象に、毎週、電話相談を行なっている。その相談員と当連合会各理事は、都道府県の各精神障害者家族会連合会や地元の地域家族会でも相談を受けている。

 その相談内容では、精神科病院等の医療に対する訴えがかなりの数にのぼっている。具体例を二つあげれば、次のようなものがある。

▶第1事例(患者の妹からの相談):ある面会の日、任意入院患者である姉の顔と脚に大きな青いあざができていたので本人に聞くと、男性職員に殴られたと言う。看護師に質すと、「本人が転んで怪我をした」という。そのとき、ある不愛想な男性職員が廊下を通り過ぎた。姉はその職員を後ろから指さして小声で「あの人よ」という。妹にはどちらの言うことが正しいのか分からなかったが、姉がさらにひどい目に遭うのが心配であったため、それ以上の追及はしないで帰った。他に入院させてくれる病院が見つからないので患者には弱みがある。

 相談員に分かっていることは、病院の壁に掲示してある権利擁護機関(実質的には精神医療審査会)に勇気を出して電話をしても、ほとんどの場合、却下されてしまうという現実である。この事例では、調査をする方法がない。

▶第2事例(患者の姉からの相談):任意入院中の妹が、回復して退院が間近になったときに主治医が替わり、そのとたんに病状がひどく悪化して医療保護入院になった。新しい主治医から姉に治療計画書が示され、同意の署名を求められた。治療期間が長くて納得がいかない姉が断ると、何度も電話で「今月中に署名しなければ、病院から放り出す」と脅され続けた。それでも拒否していると翌月に病院職員から電話があり、開放病棟での「差額ベッドにしたので毎月30万円の利用料を負担してほしい」とのことであった。これでは署名をするしかないと思っている、との姉からの訴えがあった。相談員が姉とともに病院を訪問したが、ソーシャルワーカー1名が対応したのみで、解決には向かわなかった。

●以上の事例を通して感じることは、①地域における精神科病院は外部の目が入らない密室になっているため、中でどのようなことが行なわれても分からないという問題があること。この問題を解決できなければ、精神科単科病院の存続については、人権擁護の観点から厳しく検討されなければならない。②精神科医療機関を監視する実効性のある人権擁護機関が必要である。関係機関・関係者や政府から独立した外部の第三者人権擁護機関がぜひとも必要である。

  • (問2)貴団体では、障害者虐待防止法附則第2条規定する各機関(学校、保育所等、医療機関、官公署)等における虐待防止を進めるにあたって、どのようなことが課題だと感じていますか。お聞かせください。

 (回答)

既に様々な資料、論文において、特に精神科病院における身体的虐待、経済的虐待を主とする虐待事例は報道される等明らかになっているものだけでも枚挙に暇がない。

平成23年第177国会における障害者虐待防止法の審議においても、第2条に係る医療機関を利用する障害者に対する虐待について第三者の通報義務等を規定にしていない問題点については複数の議員から質問があったにもかかわらず、政府の答弁は、「管理者に対して、職員等に障害者に関する理解を深めるための研修や虐待に関する相談体制の整備等、その防止のための措置を義務付けている」という的外れなものであった。多くの虐待事例が示すように、実際の虐待では組織的に実施されるものもあり、当該機関の管理者に義務付けるだけでは問題は解決しないだけでなく、医療機関という閉鎖的な場で行われる虐待は隠ぺいされることが多く、またそのことが容易である。

また医療関係者の中には、虐待を医療行為と思い込み実施している事例もある。また、家族が質問したり、意見を述べても聞き入れられないことも多く、質問や意見を述べにくい環境であることは当会が実施した調査結果(当会平成21年度調査「病名や治療方法について、家族への十分な説明がなかった」42.1からも明らかである。

さらに、通報義務がないこともあり、医療機関等における虐待の状況も明らかとなっていない。今後国際機関から統計的な報告を求められることも考えられるため、早急に調査体制を確立するべきである。

このことから、第三者による通報義務こそが、このような閉じられた場所での虐待を明らかにする唯一の方法であり、必ず法律に盛り込まなければならい内容であると考える。

さらに、そもそも障害者虐待防止法は、相談・審議のできる独立した第三者機関を設置しておらず、監督省庁からの措置に留まっている。通報された事案が虐待にあたるかどうかを審議する第三者機関の設置が必要である。

 

 


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PDF文書 虐待防止の条項に関する障害者団体ヒヤリング意見
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