報道関係各位
白金高輪硫酸事件や東京北区母親殺傷事件などの報道について
緊急要望
2021年10月6日
公益社団法人全国精神保健福祉会連合会
日頃、報道機関におかれましては社会正義のため迅速で正確な報道のためご尽力されていることに対し深甚なる敬意を表します。
私たちは、かねてより精神疾患に関する「精神科に入院・通院」していたことや「診断名」がたとえ事実であっても、事件の動機や原因が特定の疾患や障害と関係があるかのように読者・視聴者に強く想起させるような報道とならないように配慮した報道をお願いしてきました。
しかし、この間の報道の際に、例えば、統合失調症やパーソナリティ障害との診断名など特定の疾患や障害、精神科入通院歴に関する報道に対して、私たちは、偏見の助長につながる問題報道であると深刻に受け止めています。
とりわけ、診断と事件のかかわりが不明瞭ある中で、主治医でもない精神科医が事件と容疑者・犯人に言及する場合には、どのような影響を及ぼすのかを踏まえると看過できません。責任能力についても、個別案件で裁判所が認定すべきです。
報道機関は、社会的偏見の形成や是正に多大なる影響力を保持していますので、自らの影響力を考慮した報道をお願いいたします。
私たち「公益社団法人全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)」は、精神障害をもつ人の家族でつくる家族会の全国組織です。傘下の家族会は全国に約1,200か所あります。各都道府県に連合会が組織され、当会の構成員となっています。私たちは、精神障害のある本人と家族が安心して暮らせる社会をめざし、多くの仲間や関係者の方々と支えあい、学びあい、手をつないで目標の実現に努力しております。
精神疾患のあるひとやその家族は、日常生活に生きづらさを感じながら生活しています。そのことが社会的孤立につながる原因ともなっています。事件報道によりさらに社会の中で肩身の狭い思いを強いられることになりかねないと危惧します。配慮ある報道を重ねてお願いいたします。