■今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書
先月にもお知らせいたしましたが、改めて研究会委員としてまとめておきます。
7月30日、標記報告書がまとまりました。同報告書は、7月30日に厚労省から公表されるとともに8月22日には、厚労大臣の諮問機関である労政審障害者雇用分科会(以下分科会といいます。)にも報告があり承認されました。
この研究会は、平成29年3月28日、「働き方改革実現会議」において、障害者等が希望や能力、適性を十分生かし、障害に応じて活躍できることや障害者とともに働くことが当たり前の社会を目指していくために、「多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着を進めるよう有識者による会議」を設置することが決まりました。それを受け、有識者、労使、障碍者団体等の関係者で構成された研究会が立ち上がり、平成29年9月20日を第1回とし、第15回(平成30年7月27日)までの15回にわたり開催されてきました。
このうち第2回から第5回にかけては、当会を含む障害者団体、支援者、労使等関係14団体からのヒアリングも実施されました。(当会に対するヒアリングについては、月刊みんなねっと昨年12月号をご参照ください)その後、①障害者雇用の質の向上②中小企業における障害者雇用の推進③雇用率制度等障害者雇用制度の在り方の3点を中心に論点整理が行われました。
論点3のうちの一つ、質の向上は更に①週所定労働時間20時間未満の障害者雇用の支援措置の創設②在宅就業者支援制度③希望する障害者のテレワークの推進の3つからなっています。中でも、週所定労働時間20時間未満労働は精神障害者雇用と深く関係しますので、もう少し説明したいと思います。昨年度までは、雇用率算定上週所定30時間未満20時間以上は短時間雇用として、0.5とカウントされていました。20時間未満は、雇用率制度から行くと雇用とみなされていなかったのです。そこで研究会発足当初は週所定労働時間20時間以上の30時間未満のいわゆる短時間労働をどう取り扱うかという議論でしたが、先刻ご承知の通り、「精神障害者に限られますが、雇用されてから、もしくは精神保健福祉手帳所持してから3年間は1.0とカウントされると法改正(本年4月から施行)されましたので議論は超短時間に移行しました。研究会では賛否両論がありましたが、「精神障害者の中には、長時間勤務がストレスとなる人が多い。超短時間勤務は従来の働き方が困難な障害者の雇用の機会が生み出せる。」ことから労政審障害者雇用分科会で、法改正も視野に入れ、具体的な議論をしていくことになりました。
精神障害者等や発達障害者は、職場定着率が低く課題が多く、今回も報告書並びに今後の労政審の議論で解決策が見いだせるとは限りません。しかし、「精神障害は統一的な対応は難しい面はあるが、本人の適正に合わせた仕事を見つけることで企業の大きな戦力になる。精神障害者に配慮できる職場は、一般労働者もストレスの少ない状態で働きやすく、職場全体の生産性も高まる効果が期待できる」(阿部正浩・分科会会長 読売新聞8月15日付)のであり今後は労政審・分科会に場所を変え積極的に提言していきたいと思っています。(本條義和)
■交通運賃割引運動の具体的な取り組みについて
今年 6 月の「平成30年度みんなねっと定期総会」2日目の会長・事務局会議では、この4年間の運 動を振り返り、今後の取り組みに向けて、制定が進んでいる差別解消条例の活用や県バス協会への働き かけのように、鉄道事業者にも県との連携した働きかけをしようなど積極的な意見交換が行われました。 今年の第196回通常国会においても、請願は衆議院・参議院ともに審議未了で不採択になりましたが、昨年4月1日から、西鉄が 100km 制限の ない素晴らしい内容で精神障害者への適用に踏み切ってくれました。また、国土交通省は昨年6月~7月、鉄道局長、自動車局長、地方管区運輸局長を通じて鉄道事業者や都道府県バス協会、日本有料道路 協会会長など全交通事業者に協力要請を行いました。