《みんなねっとの活動》
■「精神障害者の自立した地域生活の推進と家族が安心して生活できるための効果的な家族支援のあり方に関する全国調査」報告書発行
みんなねっとでは、2017年度に日本財団の助成を受け、「精神障害者の自立した地域生活の推進と家族が安心して生活できるための効果的な家族支援のあり方に関する全国調査」を実施いたしました。本調査では、全国の精神障害のある人の3,129家族等にご協力をいただき、貴重なデータを得ることができました。
2017年度は、これまで懸命に努力してきた家族の体験にもとづき、兄弟姉妹・こども・配偶者など親以外の立場の状況や統合失調圏にとどまらない対象者を想定し、重度かつ慢性とされる方の地域生活の状況にも目を向けていきたいと考えました。
ぜひ今後の精神保健福祉施策の向上と、精神に障害がある人々とその家族の生活の改善への一助となるよう参考資料としてご活用いただければ幸いです。
最後になりましたが、調査にご協力いただきましたご家族の方々に心より御礼を申し上げます。本調査報告書は日本財団の助成を受けての事業でした。
当日は、呉秀三先生の業績について、その研究第一人者の岡田靖雄氏(精神科医)、橋本明氏(愛知大学)による対談を通じて学びました。また、シンポジウムも行われ、みんなねっとからは本條理事長が指定発言で次のように述べました。
「精神障害者家族の全国団体通称みんなねっとの本條義和です。当会はその設立以来、精神障害があっても住み慣れた地域で生き生きと生活できる社会をめざし、さまざまな事業活動を展開してきました。
それと同時に家族自身が支えあい、学習し、ともに声を上げていくということも家族会発足当時から3本柱としてきました。
そうした中、入院中心の治療より、支援者が訪問し、本人を含む家族全体を支援するいわゆる、行動療法的家族支援技術が、本人の再発や病状悪化を防止するとともに、本人・家族のリカバリーに大きな効果があることを学びました。
現在のわが国の精神科医療はまだまだ入院医療中心です。もちろん入院医療は必要です。
しかし、日本の人口が全世界の1.7パーセントにすぎないのに全世界の精神科病床の19パーセントが存在することは異常としかいいようはありません。
厚生科学研究論文では、日常生活及び社会生活の状況尺度によって4以上の場合は入院相当としていますが、当会の調査(家族を中心に聞き取りをした点を考慮に入れましても)では入院相当とされる4以上461名のうち、入院中は25.5パーセントにすぎず、74.5パーセントは通院しながら地域生活を送っているのです。
さらに調査結果を見ますと、74.5パーセントの人々の日中活動の状況は、特に何もしていないが25.2パーセントなのを除くと「訪問看護」17.6パーセントが最も多く、通所施設12.4パーセント、医療機関のデイケア・ナイトケア11・5パーセント地域活動支援センター7.4パーセントが続いており、地域生活を送る重度の精神障害者にとって訪問看護と日中通える場所の状況がうかがえます。
もう一点は、精神障害に限らず障害は、疾病やケガといった個人因子ばかりではなく社会にあるバリア(障壁)という環境因子との相互作用といわれています。
隔離、身体拘束といった目に見える障壁はもちろんのこと、偏見差別といった社会にある障壁、優生保護法(当時)や、さまざまな法律に規定がある欠格条項、民放770条の裁判離婚請求の要件に強度の精神病があることなど法制度の障壁・・・これらを解決していくには、啓発教育が大切です。
権利条約第24条の教育では障害児に対する教育のみが言及されていますが、同じ権利条約第8条「意識の向上」に教育制度のすべての段階において、障害者の権利を尊重する態度を育成することとあります。
今般高校教育の学習指導要領が改定され、精神疾患を教育することになったようです。そのほか精神保健福祉法についても意見があるのですが、シンポジストの方からすでにお話がありましたので、以上で意見表明といたします」
■2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワークホームページ開設
当会も構成団体として参加する「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク」は、2020東京オリンピック・パラリンピックに向け、わが国の障害者の芸術活動の裾野を拡げ、芸術活動をかけ橋として、多様な文化・価値観を認め合う社会を創造することを目的に27団体(2018年3月現在紙面の都合によりHPでご確認ください)から構成されています。
この全国ネットワークの活動や構成団体のとりくみを紹介、発信してくホームページ「障害者文化芸術情報ナビhttps://syobungei.net/」が開設されていますのでお知らせいたします。(小幡)