《精神保健福祉の動き》
これを受け、みんなねっとから次の趣旨を表明しました。
「ちょうど100年前に、精神病者監護法による私宅監置の悲惨さを実態調査した呉秀三の政府への報告書が提出されております。精神科医療は地域移行へ向け、大きく踏み出しています。この行動計画と共に私たちが心のバリアフリーについて理解を深め、差別・偏見のない社会をつくることを進めることが必要と考えています。しかし、昨年暮れの大阪寝屋川事件のような現代版私宅監置ともいうべき状況も残念ながらございます。呉秀三の報告から100年、今回の行動計画から100年、先を見越したまさにレガシーといえるような行動を私たち団体と共に、各障害者の正しい知識と体感、体現的な継続性のある取り組みを通じて、理解を深めていけるような行動計画推進に期待していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」。
*意見表明をした11団体=全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)、日本盲人会連合、全国脊髄損傷者連合会、日本難病・疾病団体協議会、全国手をつなぐ育成会連合会、日本発達障害ネットワーク、全国重症心身障害児(者)を守る会、全日本ろうあ連盟、DPI日本会議、日本身体障害者団体連合会、日本パラリンピアンズ協会
■平成30年診療報酬改定にかかわる要望書の提出について
平成30年2月5日にACT全国ネットワークからの申し入れを受け、当会との共同で次の要望書を厚生労働大臣宛に提出いたしました。
要望書
日本の精神医療において、地域移行を待つ入院当事者が未だ多くいることは課題でありますが、医療中断や未受診のまま、地域で種々のサービスを受けられない、ひきこもりの状態にあり、高齢者の親などが抱え続けている当事者が多く存在することも大きな問題です。
重い精神障害を抱えながら地域で暮らす当事者には、薬物療法のほかに、生活支援、心理的支援、リハビリテーションなど、さまざまな支援が必要であり、また、通院や通所がむずかしいことから、精神科医、看護師、作業療法士などの医療職に加えて精神保健福祉士、あらたに設けられた公認心理師を含む多職種によるアウトリーチ・チームによる訪問支援が有用です。これは当事者・家族から非常に望まれているサービスでもあります。
ACT全国ネットワークでは、添付に示すように、現在「在宅時医学総合管理料」の枠組みで支援している当事者の実態、支援の実態を緊急に調査いたしました。これをみますと、年余にわたる密度の濃い支援が、重い精神障害をもっていても地域で暮らすことを可能にし、多く再入院を抑止していることが見てとれます。
今後の、地域精神医療の充実を実現可能にするために、今回の診療報酬改定に際して、以下を要望させていただきます。
1.
重度の精神障害を持つ患者の状態は、年余にわたり一進一退で、地域精神医療の支援の目標は、世界的にも「病気を治す」というより、「症状や障害があっても地域で暮らせるように力量をつける」ということです。6か月で支援を軽減するのは非現実的であり、年余にわたり密度の濃い支援が出来るように評価基準を作成してください。
2.
症状が不安定な、重度の精神障害をもつ患者には、薬の処方の相談や、精神療法的な関与のために、月に2回以上の精神科医の訪問診療が必要です。このことを「精神科在宅患者支援管理料」の中に盛り込んでください。
3.
医療中断や未受診のままひきこもり状態にある、重い精神障害をもつ者への支援は、患者や家族の同意を得ながら、訪問診療・訪問看護ですでに行われています。これらの支援にも、入院歴のある患者同様のていねいな支援が必要です。「精神科在宅患者支援管理料」が、多くの困難を抱え、長期にひきこもりにある患者にも「重症患者」として対応できるよう設定してください。
4.
すでに在宅医療をしている精神科診療所では、退院後1年以上再入院なく過ごされている患者を相当数診ております。これらのものの中には、密度の濃い支援を継続しているものもおります。制度の移行にあたって、これらの支援が評価からもれることのないよう、「退院時GAF」による評価ではなく「エントリー時のGAF」あるいは「現在のGAF」による評価で「重症度」を図るようにしてください。
5.
重症患者の算定にあたっては、「保健所または精神保健福祉センター等が一堂に会し、月に1回以上のカンファレンスを開催する」とありますが、保健所等の機能にはかなりの地域格差が存します。診療所等が開催を希望しても日程が合わないなどのことは通常のケア会議でもしばしばみられることです。現実的に可能な形態を再考願います。
■ベルギー視察派遣について
2月18~26日にかけて行われたベルギー視察に、みんなねっとを代表して、木全副理事長、事務局長小幡が参加いたしました。